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人の身体はテセウスの船か

「テセウスの船」という神話がある。 古代ギリシャでテセウスがクレタ島から帰還した船をアテネの人々がずっと保管していた。 年月が経つにつれて木製の船は朽ちてくるので、部分的に新しい木材で修復しながら保存をした。 その結果、 …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑭

身内が臨終する際には不思議な体験をするという。 実際に自分が直接聞いた話もいくつかある。 そして、私もその体験をすることとなった。 その日、私は出身高校の文化祭を訪れていた。 柔道のOB戦に出場するためである。 公式戦で …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑬

病状が快方へ向かうと、その患者のまわりの空気は一変する。 家族のみならず、医師や看護師も余裕を持って接するようになる。 また、少しでも平常の生活に戻すために前向きの行動が増えてくる。 このことは、何よりも母や家族を元気づ …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑫

1度目の危篤を乗り越えてから母の様態は急激に改善した。 まず、数ヶ月にわたって塞がらなかった手術のメスの跡がふさがった。 後にベテランの看護師が「この傷は絶対に塞がらないと思っていた」と打ち明けてくれたが、やはりそのレベ …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑪

人の生命をあずかる病院ほど人間模様が浮き彫りになる場所はない。 重症患者の病棟となればなおさらだ。 様々な患者が命と向かい合い、医師も看護師もいろいろである。 飯屋の一件依頼、できるだけ客観的に現状を受け止めるようにと自 …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑩

こうなると飯屋のオヤジが無口なのも有り難かった。 こちらは数カ月間に渡り食欲もないので、私が店を訪れるタイミングは、メンタル的にどうにもならないことが生じて、夜の街に出ざるを得ないときだったので、真っ青な顔をしていたり、 …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑨

母の顔に表情が戻っていった。 うなされ続けた数ヶ月が嘘のように会話もするようになった。 ある意味予想していたことではあるが、驚いたことに一度目の手術が終わって自分たち家族と対面した直後から意識を失って奇跡的に目覚めたとき …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑧

病院に親戚が続々と集まってくる。 順番に母の枕元へ行き、涙ながらに別れのことばを発するのだが、相変わらず私には「その時」がくる実感が湧かなかった。 意識はないのだが、顔色は苦しんでいるときと比較してもむしろ良くなっている …

漫画家の一峰大二氏が亡くなった

小学生のとき、野球漫画をたくさん読んだが、一峰氏の「黒い秘密兵器」は超絶面白かった。(もちろん今でも面白い。) 今でも全巻自宅の本棚に並んでいる。 一峰氏というとウルトラマンシリーズとかが有名なのだが、私にとっては、なん …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑦

主治医が親戚に集まってもらえと指示を出したのは日曜日である。 私はその日、日本武道館で柔道の試合に出場していた。 ろくに練習もできていない状況であったが、個人戦の試合にでていた。 折しも、自分の最後の試合中に館内放送が流 …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑥

2度めの手術が終わってからというもの、母の様態は急変した。 麻酔が醒めても、意識はずっとはっきりしない。 常にうなされている感じだった。 少し落ち着いているときは会話もするが、すぐに話の脈絡がおかしくなる。 「弟が訪ねて …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)⑤

肝癌の手術が終わり、麻酔も醒めてまだ数時間というのに、もう一度同じ規模の手術を行うという。 その時点で母の腹部は、胸骨の下、つまりみぞおちのあたりから右側の背中にかけて40cmほど裂かれている。 縫合したところを開くわけ …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)④

母の肝癌の手術は主治医の話によると6時間ほどの手術ということだった。 家族にとっては大手術であるが、当時の外科的手術としては、それほど珍しくないという説明を受けた。 午前中から始まったが、その間、家族はただ待っているしか …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)③

昭和の医師と令和の医師では患者から見た立場が全く違う。 いまでこそ、セカンドオピニオン(他の医師の意見)やらインフォームドコンセプト(説明と同意)なることばが一般的になってきたが、当時は患者側の知識や判断力も乏しいため、 …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)②

覇気がなく「だるい」を口にすることの多くなった母が検診を受けたところ「要医療」という判定が戻ってきた。 検診の判定区分は大きく「異常なし」「要観察」「要精検」「要医療」に分けられる。 要観察までは、直ちに病院へ行く必要は …

一分の救い(ノンフィクション風の物語)①

本当に気が狂いそうだった。 一生のうちで、精神のバランスが振り切れてしまう経験など、そう何度もすることでもないし誰もしたいとも思わない。 しかし、場合によって、人によって、その時が人生に訪れることもある。 「死ぬ気になれ …

望み

雫井脩介氏の「望み」が映画化されているらしい。 私は、原作を読んだ小説の映像は、ほとんど鑑賞するようにしている。 同氏の「犯人に告ぐ」などは、比較が興味深かった。 だが、さすがにこの物語は、映画では観ないだろうと思ってい …

水泳帽に黒ライン3本(感動的想い出シリーズ)4

5級の進級試験で10mのプールの端にたどり着いた内山くん。 引き上げられた私に応援してくれた友人や先生が「合格だ」と盛大な拍手と声援を送ってくれた。 しかし、このとき、、、 実は、右手がプールサイドをたたく直前に、右足の …

水泳帽に黒ライン3本(感動的想い出シリーズ)3

小学校の水泳進級(5級)試験。 10m泳ぎきれば合格だが、息継ぎがギャンブル状態なので合否はカツカツな状態だった。 そこで父と「できるだけ息継ぎをしないで、行けるところまではいく」という作戦をたてた。 「できるだけ息をた …

水泳帽に黒ライン3本(感動的想い出シリーズ)2

小学校の夏休み、水泳5級の進級試験。 1年生のときである。 どんな泳ぎ方でも良いので、10m泳ぎきれば5級(帽子に白ライン2本)がもらえるのだが、これは当時の私の泳力でギリギリのラインだった。 息継ぎがうまくいけば泳ぎき …

水泳帽に黒ライン3本(感動的想い出シリーズ)

小学校の頃夏休みはできるだけ学校のプールに通っていた。 とてもおもしろく教えてくれる先生がいて助かった。 とにかくこの子は「おもしろくなければやらない」という大人からみればクソ憎たらしい子どもだったので、この出会いは、カ …

土俵下

人気の小兵力士炎鵬が土俵下に落下した。 まっすぐ寄り倒され、激しく腰と背中と頭を打った。 テレビ画面からも、場内が一瞬息を呑むほどの衝撃だったとわかる。 土俵の高さは、約60cmだというが、土俵の上で寄り倒されたとしても …

不幸中の幸い

不幸中の幸いという言葉は、 「幸せを感じている」のではなく根本に「不幸な状態」というのがあって、 「もっと不幸なことが起きずに良かった」という意味である。   しかし、最近「不幸中の幸い」の「幸い」の方にきちん …

少年と犬

「犬が人に拾われたのか、人が犬に拾われたのか」 直木賞受賞作、 馳星周「少年と犬」 心を打たれた。 タイトルが「少年と犬」だが「男と犬」という章から始まるソウルフルな物語だ。 男に拾われた犬の多聞(たもん)が、 「泥棒」 …

公立高校ZOOMで授業

今日は、青梅総合高校でマインドマップの授業でした。 カリキュラムに私の授業を入れてもらってもう何年にもなりますが、本来であれば、受講する生徒250名を視聴覚室に集めての一斉授業をするのですが、今年はZOOMでの遠隔授業で …

マラソンチップの威力

昨年に引き続き、「葛飾ふーてんマラソン」で10kmを走ってきました。大きな大会が軒並み中止になる中、ローカルな大会に加え会場が広い土手でそれほど密にもならないだろうということで開催ができたのだろうと、勝手に思っています。 …

大統領選挙

何やら、今回の大統領選挙は、結果が出るまでとても時間がかかるらしい。報道をみて選挙前から嫌な予感がしていたが、ほぼ予想通りの混乱になっている。 「選挙に不正があったのでやり直させる」とかが大きな原因である。ただ、いわせて …

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